「もし自分の余命が一年だとしたら、あなたは何をしますか?」
吉川トリコさんの小説『余命一年、男をかう』は、そんな究極の問いから始まる物語です。
タイトルの衝撃性に惹かれて手に取った人も、読み終えたあとには「生きること」「愛すること」の意味を深く考えさせられるでしょう。
この記事では、あらすじ(ネタバレなし)・印象に残った言葉・感想や考察をまとめ、作品の魅力をお伝えします。
『余命一年、男をかう』の概要
・著者:吉川トリコ
・出版社:講談社文庫
・発売年:2024年5月15日
あらすじ(ネタバレなし)
主人公は突然「余命一年」と宣告されます。
残りわずかな時間をどう使うか悩む中で、彼女は大胆にも「男をかう」という行動に出ます。
契約から始まった関係は、やがて人間らしい感情や葛藤を伴うものへと変化していきます。
死を前にして、人は何を求め、どう生きようとするのかーー。
作品全体を通して「生と死」「欲望と愛」という普遍的なテーマが描かれています。
印象に残った言葉
生きることに未練はないし、むしろ早めに人生を切りあげられてラッキーだと思ってるぐらいだよ。
死を前にして、ここまで達観できるのかと衝撃を受けました。
お金のために結婚する人間がこの世にどれだけいると思う?愛というオブラートでくるんではいるけど、実際のところ結婚ってM&Aみたいなものでしょ?
一見冷たいけれど、本質を突いている言葉だと感じます。
生きる意味なんてそんなこと考えてるの、よっぽどの暇人ぐらいだろ。給料日にはうまいもん食って、たまの休みに温泉行って、観たい映画が公開されるのを心待ちにして、そんぐらいの楽しみのために生きたってよくねーか?
小さな幸せの積み重ねが人生なのだと気づかされました。
生き続けなきゃいけないことをむしろ怖れていたはずだった
死よりも『生きること』の重さに向き合わされる一文です。
読んで感じたこと・考察
『余命一年、男をかう』は、単なる「余命もの」や「恋愛小説」にとどまりません。
・死が近いからこそ、人とのつながりを強烈に欲する姿に共感。
・「買う/買われる」という非日常の関係が、やがて「人を想う」関係に変わっていく過程が胸を打つ。
・読後は切なさだけでなく、「自分はどう生きたいか」を考えさせられる余韻が残る。
吉川トリコさんの筆致は繊細で、時に大胆。
人間の孤独と欲望を描きながらも、最後にはどこか救いを感じられる物語でした。
まとめ:生きる意味を問いかける一冊
吉川トリコ『余命一年、男をかう』は、衝撃的なテーマ設定を通して
・生きる時間の尊さ
・他者との関わりの重み
・愛と欲望の本質
を鋭く描いた作品です。
「もし余命が一年なら?」という問いは、誰にとっても他人事ではありません。
読後、きっとあなたも「今日をどう生きるか」を考えずにはいられないはずです。
私は、ささやかな幸せを探すようになりました。
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